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世界のモータースポーツを統括する国際自動車連盟(FIA)が規定するレースカテゴリーのひとつで、F1を頂点とするフォーミュラカーカテゴリーのピラミッドの中で、上から3番目に位置するため「フォーミュラ3=F3」と名付けられています。
F1などの最高峰カテゴリーにつながる、若手ドライバーのステップアップカテゴリーとして1950年代にイギリスで誕生したF3は、世界各国でシリーズが誕生し隆盛を極め、現在はヨーロッパ各国シリーズを統合する形でFIA F3ヨーロピアンシリーズが行われています。一方、日本でF3は1979年にスタート。以来、全日本F3選手権は国内屈指の長寿シリーズとして間もなく40年の節目を迎えようとしています。
F3の競技車両は、FIAの車両規定に則り、高い安全性を備えたカーボンモノコックシャシーを採用。さらに上級カテゴリーに通じるパフォーマンスをもたらすべく、洗練された空力性能を備えているのが特徴で、エンジンに関しても、多くのエンジンチューナーがエンジン規定に則った形で設計・開発したF3専用エンジンが搭載されており、マニュファクチャラーによるキャラクターの違いこそあれ、ほぼイコールコンディションが保たれています。また使用するタイヤも、シリーズによって供給メーカーは異なりますが、ワンメイクとなっています。
その結果、F3では「道具」の要素を減じ、「ドライビング技術」にスポットが当たるハードウェアとなっており、「若手育成カテゴリー」であるという基本目的をハードウェア面でも下支えする構図となっています。
この様な環境で争われるF3は、2016年のF1ワールドチャンピオンである、ニコ・ロズベルグ選手を始め、多数のトップドライバーを輩出しており、トップカテゴリーへのステップ、フィーディングカテゴリーとしての役割を担っています。 -
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2019年は2台体制を敷くスリーボンドレーシング。チーム体制は、トラックエンジニアには、かつてチームに初優勝をもたらしスーパーGTでチャンピオンにも輝いた伊予木 仁氏を12号車、13号車には若手有望エンジニアとして筆頭する鄭 永薫氏を迎え、昨年同様に道上 龍氏をスーパーバイザーに、エンジンチューナーには東名エンジン今井 修氏とタッグを継続します。ドライバーは12号車に昨年SUPER GT 300クラスにModulo Drago CORSEから参戦し3位表彰台を獲得した大津 弘樹選手、13号車は国内唯一の女性F3ドライバー三浦 愛選手を迎え入れシリーズチャンピオン奪回を狙います。
チーム概要
- チーム名:ThreeBond Racing
- チーム監督:足立 守
- スーパーバイザー:道上 龍
- トラックエンジニア:伊与木 仁(#12)/鄭 永薫(#13)
- ドライバー:大津 弘樹選手/三浦 愛選手
- エンジンチューナー:今井 修
- シャシー:Dallara F318(#12)/Dallara F314(#13)
- エンジン:スリーボンド東名
ドライバー
- 生年月日
- 1994年5月25日
- 身長
- 168cm
- 血液型
- A型
- 出身
- 埼玉県
- 趣味
- テニス
- 大津 弘樹 公式ホームページ
- http://www.hiroki-otsu.jp/
Stats
- 2018年
- SUPER GT300/SUPER 耐久シリーズST-TCRクラス
- 2017年
- 全日本F3選手権参戦 シリーズ5位
- 2016年
- 全日本F3選手権参戦 シリーズ9位
- 2015年
- FIA-F4 シリーズ3位
- 生年月日
- 1989年11月24日
- 身長
- 153cm
- 血液型
- B型
- 出身
- 奈良県
- 趣味
- 食事、自転車、ヨガ、キックボクシング
- 三浦 愛 公式ホームページ
- https://ai-miura.com/
Stats
- 2018年
- 全日本F3選手権 12位
- 2017年
- 全日本F3選手権 8位
- 2016年
- 全日本F3選手権 出場
- 2015年
- 全日本F3選手権 Nクラス2位
Formula 3エンジンのレギュレーション
以前は2リッター4気筒の量産エンジンのブロック・ヘッドなどを流用して専用エンジンに仕立てられていたF3エンジンですが、2013年にFIAがエンジン規定を大きく変更。気筒数、排気量の変更はないものの、量産エンジンをベースとする必要はなくなり、使用される各パーツの重量、サイズなど細かい規定が設定されてはいるものの、純粋なレーシングエンジンとして設計・開発するフリーデザインエンジンとなったほか、時代の流れに沿う形で燃料をシリンダー内に直接噴射する、いわゆる直噴エンジンとなりました。
また26mm径のリストリクターによる吸気制限で、約210馬力程度の出力にコントロールされていましたが、新規定移行に伴いリストリクター径も28mmへと拡大し、流入する空気量が増え、現在では約240馬力とパワーアップしています。しかしながら、以前と同様に吸気量制限されていることには変わりなく、各エンジンともに、ほぼ横並びの出力性能となっています。この様にF3ではシャシーやタイヤだけでなく、エンジン面でもイコールコンディションが保たれています。
その一方、FIAはF3エンジンに対し年間走行マイレージの保証や使用コストの上限を設定しており、これによりエンジンコストの高騰を防ぎ、どのエンジンチューナーのF3エンジンであっても、ほぼ同コストでエントラントが使用できる環境が整えられました。また各チューナーは、エンジン仕様をFIAにホモロゲーション(公認)申請し、承認を受けると、次のホモロゲーションイヤーが来るまで、仕様変更できないこととなっています。2013年の新エンジン規定移行に際し、同年にホモロゲーションを受けた日本の複数のエンジンチューナーに対し、新型エンジンへの移行を1年遅らせたメルセデスやフォルクスワーゲンなどは2014年にホモロゲーションを取得。スリーボンドエンジンも欧州勢と同様に2014年にホモロゲーションを取得しており現在はホモロゲーションイヤーの異なるエンジンが同じ土俵で戦っている状況となっています。 -
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スリーボンドレーシングの歴史
明日のトップドライバーを目指す若手育成カテゴリーであるとともに、世界共通規則に則ったインターナショナルカテゴリーであるF3。そのF3とスリーボンドの関係は、2000年に日産の量産車用SR20DEエンジンをベースとし、東名エンジン、梅田チューニングショップの協力の下「スリーボンド・ニッサンエンジン」を開発、「スリーボンドレーシング」として全日本F3選手権に参戦を開始したことに端を発します。
参戦初年度の2000年はドライバーに土屋武士選手を起用。初のシーズンをランキング9位で終えると、翌年には井出有治選手をドライバーに擁し、ランキング5位を獲得。2002年の富澤勝選手を経て、2003年にはイタリア人ドライバーのパオロ・モンティン選手を起用して第7戦(ツインリンクもてぎ)で待望の初優勝を飾ると、翌第8戦でも見事連勝、ドライバーランキング2位と大きな躍進を果たしました。
さらに2004年にはファビオ・カルボーン選手と柳田真孝選手を起用し、本格的な2台体制を構築。2005年には横溝直輝選手、パオロ・モンティン選手という強力な布陣で年間6勝をマーク。チーム部門、エンジンチューナー部門でともにランキング2位を獲得するなど、トップチームとしての地位を確固たるものとしました。
以後、マルコ・アスマー選手、安田裕信選手らを起用し激闘の全日本F3選手権を戦ったチームは、2010年に関口雄飛選手を起用しドライバーランキング2位を獲得すると、2011年には安田裕信選手を再び起用し、最終戦までドライバーチャンピオンを争うも、惜しくもドライバーチャンピオンを逃したものの、念願だったチームチャンピオンを奪取しました。
この勢いを駆ってスリーボンドレーシングは、翌2012年よりイギリスのT-SPORTとともに「ThreeBond with T-Sport」として、ヨーロッパへと戦いの舞台を移すことになりました。
2012年、ニック・マクブライド選手を起用したThreeBond with T-Sportはドライバーランキング10位を獲得。2013年はウィリアム・ブラー選手からアレキサンダー・シムス選手へとドライバーを交代しつつもチームランキング5位を手にしました。
2014年以降、量産エンジンをベースとするレギュレーションが撤廃されるなど大きなエンジン規定の変更を受け苦しい戦いとなるものの、F3世界一決定戦では2014年にニック・キャシディ選手を擁して3位、2016年には山下健太選手を起用して4位と着実な成果をあげ、5年間のヨーロッパ挑戦にひと区切りをつけ、2017年より全日本F3選手権に戦いの舞台を戻すことになりました。復帰初年度から優勝を目指すためには優秀なドライバーを必要と判断し、国内だけでなく海外の有望若手ドライバーを調査。若干16歳でマカオグランプリ出走を果たし、過去2年間ヨーロッパを中心に競われるGP3で優勝経験を持ち、フェルナンド・アロンソの再来とも言われる、スペインの若手有望株アレックス・パロウ選手(20歳)と共に戦い、その期待通りアレックス選手は初めてのサーキットにも関わらず開幕戦からポールポジションを獲得するなどシーズン2勝を挙げました。2018年は逆輸入ドライバーの笹原右京選手を起用し、惜しくも優勝を飾ることができませんでしたが表彰台を8度獲得しシリーズ3位を勝ち取りました。今年は12年ぶり2台体制で、チームの総力を結集させた戦いを繰り広げます。 -