エポキシ接着剤を使用するときのポイントは?
硬化時間・強度・耐熱温度などの特徴を知り、用途に合わせて「選ぶ」ことです。
エポキシ接着剤には「1液タイプ」と「2液タイプ」がある
1液タイプのエポキシ接着剤は「工業用」、2液タイプのエポキシ接着剤は「一般用や工業用」として使用されていることが多いです。
1液タイプは熱によって反応し、固まります。そのため加熱するための設備が必要になります。また、熱が加わることによって反応してしまうため、冷蔵保管が必要になる場合があります。設備や保管の面を考えると一般用としては取り扱いにくいことが分かります。
では、2液タイプではどうでしょうか?
2液タイプは本剤と硬化剤に分かれていて、それらを混ぜ合わせることで反応し、固まります。混ぜない限り反応は起きませんので、加熱設備を用意する必要がなく、常温で保管することが可能です。そのため、一般用としては2液タイプのエポキシ接着剤が多く取り扱われています。
もちろん、工業用として「加熱するための設備投資に費用をかけられない」「使用する箇所が熱をかけられない材料だ」といったニーズには、2液タイプを使用することもあります。
固まるまでに、どのくらい待てばいいの?
一般用の2液タイプの硬化時間は、早いもので30分、長いもので数日かかるものもあります。確実に接着させたい場合は1日~数日待つと良いでしょう。
2液タイプは混ぜることで固まりますが、室温・気温の影響を受けやすいです。夏は暑いので、早く固まりやすいですが、冬は温度が低いため固まりにくいです。そのため、寒い季節は通常より長めに待ちましょう。
しっかりと接着させるため、どれくらいの量を塗る必要があるのか、どれくらい待てば固まるのか。エポキシ接着剤の種類や使う環境によって硬化時間は変わるので、しっかりと商品の取扱説明書を確認しましょう。
エポキシ接着剤は、他の接着剤よりも強度が高い!
エポキシ接着剤は接着強度が高いため、ブロック塀など、瞬間接着剤や木工用接着剤では接着できない「重いもの」でもくっつけることができます。
強度をみる単位として「MPa(メガパスカル)」という単位を知っていますか?
強度が1MPaのとき、1cm×1cm の面積に約10.2kgの力が作用しています。
工業用で自動車向けにつくられたThreeBond 2249Kの強さの限度は、35MPaです。接着面積が小さくても、なんと成人男性5人分(約350kg) がぶら下がって耐えることができるほど接着強度が高いです。
耐熱温度はどれくらい?
エポキシ接着剤の接着力が保たれる温度は、一般的に約-50℃ ~ 200℃と広範囲です。-50℃というと熱いお湯も一瞬で凍ってしまうような温度ですよね。一方で200℃は揚げ物もできるような高温です。エポキシ接着剤はこんなに幅広い温度環境下でも接着力を保つことができます。
「エポキシ接着剤は熱を加えると固まるため、高い温度は何℃でも耐えられる」と思われるかもしれませんが、耐えられる温度の上限があります。
例えば卵をフライパンに落として目玉焼きをつくりますよね。目玉焼きとして完成したのに、さらに熱を加えると炭になってしまいます。炭は、目玉焼きに戻ることはできません。エポキシ接着剤も、目玉焼きと同じ様に耐熱温度に限界があります。
どんな素材に使用できる?
金属(鉄・アルミ・ステンレス・ニッケル)、プラスチック(ポリフェニレンスルファイド、液晶ポリマー、ポリブチレンテレフタレート)、木材、コンクリートなどに使用できます。
その使い勝手の良さから、身の回りにはエポキシ樹脂が使用されているアイテムがたくさんあります!例えば、自動車、テレビ、パソコン、スマートフォン…異素材同士の接着もOKです。
例えばこんなところに使用されています。
- ブロック塀の補修:セメントの代わりとして
- テーブルのコーティング:キズから大事な家財を守るため
- 自動車の補修:キズやへこみを直すため
- 自動車の構造接着:車全体を軽くして燃費を良くするため
他の接着剤と性能を比べると?
エポキシ接着剤は他の接着剤と比べると強度が高く、耐熱性や耐久性に優れ、様々な素材に接着できます。
しかし、ハンドリングの面では2液の場合は「混ぜる」、1液の場合は「加熱する」手間がかかります。また、接着力の高さゆえに剥がすことが困難というデメリットもあります。
それぞれの接着剤にメリット・デメリットがあるので、接着剤を使う時は用途に合わせて適切な選択することが大切です。エポキシ接着剤は、他の接着剤と比べても優れた機能を持っています。特徴をよく知って、用途に合わせて選びましょう!
エポキシ接着剤についてもっと知りたい方へ
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さらにエポキシを主成分としたスリーボンドの接着剤もご紹介します。