「粘度」はどんな単位で表せる?
流体は「Pa・s(パスカル・セカンド)」などで表します。
例えばケーキをつくるとき、スポンジケーキにホイップクリームでデコレーションをしますよね。ホイップクリームは絞り器から出た形のまま形成することもできますし、ヘラで側面にのばすこともできます。ただし、その形は変化した後、形を維持したまま変わることはありません。
では、ホイップクリームの変わりに、サラダ油を塗ったとしたらどうなるでしょうか?絞り器にいれることはできるかもしれませんが、絞り出すことはもちろん形を維持することはできず、流れてしまうことが想像できます。形を維持できるものとそうでないもの、これらは「粘度」そして「チクソの有無」が関係しています。
「粘度」は液体の「粘性」を表す
接着剤では良く耳にする「粘度」。粘度とは、液体の粘性を定量的に表すもので、粘度の数値が大きいほど流れにくく、小さいほど流れやすいことを示します。
身の回りの「粘度」を知ろう
粘度は、国際単位(SI単位)である「Pa・s(パスカル・セカンド)」で表すことができます。実用的には、より小さい単位である「mPa・s(ミリパスカル・セカンド)」が用いられます。では身の回りにある「粘度」はどれくらいなのでしょうか?
ちなみに、1Pa・s(パスカル・セカンド)=1000mPa・s(ミリパスカル・セカンド)、1mPa・s(ミリパスカル・セカンド)=1cP(センチポイズ)で表します。
なんとなく実感はあっても、例えば「水」と「歯磨き粉」では数値が大きく違うことが分かりますね。スリーボンドがつくる接着剤やシール剤も「粘度」があります。カタログや製品詳細ページに記載されていますので、商品ごとの粘度に違いがあることが分かります。
では、「水」と「歯磨き粉」ではもうひとつ違うことがあります。それは「形を維持できるかどうか」です。
冒頭のホイップクリーム同様、歯磨き粉はチューブから押し出して歯ブラシへ着けた後、押し出すのを止めた時にそのまま形を維持することができます。同じ粘度がある物質ですが、一体何が違うのでしょうか?
「チクソ性」がある液体
力を加えたときに、そのまま流れてしまうのか、形を維持することができるのか、同じ粘性のある「液体」であっても違いがあるのは「チクソの有無」が関係しています。
チクソとは、チキソと呼ばれることもあり、チクソトロピー(Thixotropy)の略語です。
「液体に力を加えた時に、流動性が一時的に増し、流動性をなくすと再び元の状態に戻る現象」のことを表します。専門的な言葉で表現すると、液体成分の構造破壊と構造生成の可逆的な現象です。
身の回りの「チクソ」
冒頭のホイップクリームも、「チクソ」がある液体です。絞り器から押し出すと出て、絞り出した後のクリームは形を維持することで、綺麗なデコレーションが出来上がります。これは、歯磨き粉やマヨネーズでも同じことですね。
また、ボールぺンに使われるゲルインクも同様にチクソ性があります。ゲルインクはボールの回転によって力が加わり、文字を書くことが出来ます。ただし紙からペン先を離せば、つまり書くことをやめればインクがつくことはありません。書くときに流れて、書かないと止まる性質があるから、ボールペンで文字を書くことができるんですね。
普段何気なく触れているものにも物質としての性質や特長が応用されていることが分かります。私たちスリーボンドも接着剤やシール剤において、お客様の用途にあわせて粘度やチクソ性の調整を行って商品化しています。選定の際に特性をみるひとつの指標として、注目してみましょう。